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Is This It?


2010年という年号は歴史においての一つの節目であると同時に、音楽の歴史にとっても重要な節目となってくる。そもそも2009年から一つ年を取っただけのことであるが我々はどうしても〜年代という言葉で括りたくなる傾向があるのである。つまり2010年、音楽における10年代が始まったわけである。(10年代って書くとどうしても違和感が否めないのだが。)


そんなわけで10年代の始まりに必要な、いや重要な曲、それがどういうものなのか考えてみる。

重要な曲と述べたが、やはりそれは一つのムーブメントを生む必要があると思うのである。ムーブメントと言えばこれまで幾多ものムーブメントが起きており、それが周期性を帯びていることは明らかであろう。簡潔に言うと、衝動→変化→衝動の繰り返しである。(ニューヨーク、ノーウェイブなどは別の次元での話。)

2000年代を振り返ると2000年当初にRadioheadの『Kid A』がリリースされ、人々は時代の最先端を思い知ることになる。これが"変化"の言わば集大成である。すると翌年現れたのがニューヨークからの洒落た五人組であった。2000年代に青春を迎えた誰もが通るThe Strokesの『Is This It?』。女性の臀部が大きく書かれたこのジャケットは当時のアメリカで大きな波紋を呼んだという。「Is This It?」という意味深なボーカルにアンプ直のサウンドは、とてもキッドAが大ヒットした翌年の出来事とは思えない。でもそれが一つのムーブメントとなってしまったのだ。当時の10代の音楽キッズ(私)達は毎日のようにCDプレイヤーで再生しながら学校へ行ったことだろう。

それから2000年代が終わりに近づくにつれミュージックシーンは何度か小さな衝動→変化を繰り返したが大きく言えばアニマルコレクティブ等を筆頭に変化の時期に入る。そこで2010年、大きな衝動、それが鍵となってくる。その手がかりとなるべく昨年、Girlsというサンフランシスコからの二人組デュオが登場したが世界中を虜にするとまではまだ至っていない。今年こそ、Is This It?を思い起こすような、そんな衝動を待つのはどうだろう?それがリスナーのあり方ではないだろうか。

最近の情報では、ストロークス自体の新作が何となく上手く行っていない印象を受けるが、ひょっとすると彼らが自らの手でムーブメントを起こすのかもしれない。高校時代に聴いていたロックバンドのほとんどは、もはや聴くことのなくなった最近ではあるが、やはり彼らだけは期待せずにはいられないのである。



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