Spiga

Toro Y Moi / Causers Of This

最近のアメリカインディーシーンにおいて個人的に最も興味深くて面白いなぁと思うのが、エレクトロポップシーンである。昨年ヒットしたインディーエレクトロの作品の中で共通していたのは宅録感たっぷりのローファイサウンド。そもそもエレクトロがムーブメントとして発達した先端的なサウンドとは真逆の発想であった。こういうシーンが生まれる流れとかは詳しく知らないけど、今回コロンビアからの新人さんであるトロ・イ・モワ(あってる?)もまた、こうしたシーンの中から出てきたアーティストである。



彼のサウンドで特徴的なのが気味の悪い、まるで深海にいるような幻想的なサウンドである。メランコリックにさせるこの独特な感じに何故か体が揺れるのが自分でも不思議なくらい気味が悪い。去年出たアーティストの中でネオン・インディアンやメモリー・テープスのような自然的、有形な音を投げかけてくるのではなく、彼が鳴らすのはウォッシュド・アウトのような無形の音と言ってもいいのかもしれない。やはりそういった意味でもかなり取っ付きにくいが、アルバムを聴いていると徐々にこの音が快感に変わっていく。ダウンテンポな曲が多いため、本当にゆっくりと彼の音に順応していく様が体感できるという点で見ても、かなり聴きがいがある作品だ。周りの音がふんわりと不協和音で重なる割にメロディーはとてもポップで洗練されているので、慣れてくれば最高のポップミュージックになりうるだろう。



Toro Y Moi / Blessa


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