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The Morning Benders / Big Echo

今年一押しのThe Morning Bendersの2ndアルバム。サンフランシスコからの最近流行の西海岸ポップバンドであり、ジャケからみても、なんとなくサーフなイメージがつくだろう。そんな時代の波に乗った彼らだが、はっきり言って今までのサーフロッカー達とは一線を画している。

一曲目の「Excuses」。この曲はガールズやリアルエステイトと曲調なども似ており、メジャーコード、ミドルテンポの聴きやすいナンバーである。ガレージやパンクを、より西海岸的要素を踏まえて昇華し、(ワルツに乗せて)とても聴きやすく、今年の中でも名曲中の名曲にランク付けされる曲である。しかしこの曲だけでこのバンドを判断するのは、大きな間違いであるのだ。

彼らの楽曲の中で明らかに目立つ要素なのが、コーラスとスローでサイケデリックな曲調である。こういった曲が大半をしめているため、純粋なポップバンドとは言いがたく、どちらかというと聴きやすい、というイメージはなくなる。これにはGrizzly BearのChirs Taylorとの共同プロデュースが大きな要因であろう。グリズリー好きの人はなんとなくわかったかもしれないが、彼らのコーラスワークや、ギターのフレーズの特徴が酷似しているのである。ここまでスローなテンポで抑えているのも、やはりPet Sounds期のビーチボーイズの影響が見えるからである。


最近の西海岸のロックバンド達の傾向として、ガレージやパンクにサーフ的要素を交えるバンドが多かった気がする。その中でも、The Morning Bendersは、より忠実にサーフロックを継承した、純粋なビーチボーイズフォロワーではないだろうか。彼らの1stは、ポップ要素を全面に押し出していた。しかし、今作『Big Echo』で明らかな成長を遂げた。その成長ぶりには目を見張るものがあるし、時代の流れとともに恐らく次作でも大きな変化を取り入れてくるだろう。


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