Spiga

Land Of Plenty

面白かったので、映画のレビューでも書いてみる。ヴィム・ヴェンダース監督作の『ランド・オブ・プレンティ』である。ヴィムさんと言えばあの『パリ・テキサス』で有名だが、この映画も、パリテキサスのような、映し出される土地の臭い(今回はロサンゼルス)がする、とても美しいロードムービーである。

内容は、20歳になる少女ラナが伯父であるポールに会いに10年間滞在していたアフリカ・イスラエルから故郷アメリカに帰ってきて、ポールに会う目的である「母からの手紙」を渡すというだけの単純な話である。ただポールのイラク右翼に対する偏執狂っぷりに冒頭から「あれ、コメディ映画なのかな?」とまで思わされたり、本人達はクソ真面目に演技をしている所に、思わず笑ってしまったりするシーンが何回かある。そんなおかしな伯父のことを必死に理解して彼のことを知ろうとするラナの優しさに、ヴィムさんの映し出す人間観というものが出ていて素晴らしかった。

話自体は、明らかにおかしな伯父の行動や推理が、意外とつじつまがあっており、もしかしたら正しい気がしてくる瞬間もあって、多少スリルも感じたのだが、やはり最後は全てがシロで終わる。ラナが持っている「母からの手紙」が全てを結論づける。描かれている景色もとても綺麗なので、ロードムービーが好きな人は見ても損はしないでしょう。

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