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No Age / Everything In Between

最近の音源のデータ化進行により、音楽という文化、ジャンル、そして音楽それ自体が肥大化していて、リスナーである私達は一体どの音楽を聴けば良いのか、それを探すのに苦労する世の中になったと考える人も多いでしょう。

実際に最近のシーンの移り変わりは激しい。2年前までに顕著であったローファイノイズポップシーン。日本ではニューゲイザーだのグローファイだの様々な呼ばれ方をした、この新しいジャンルですが、近頃では西海岸のサーフロックブームに完全に飲み込まれている感が否めません。

そんな中、このLA出身の二人組バンドNo Ageも前作「Nouns」により世間にローファイノイズ文化を植え付けた立役者であり、彼らも2008年、その当時主流であったローファイ感溢れるノイズを全面的に押し出した「Nouns」により、いわばシーンに乗っかった形で、その名を世間に轟かせ、確固たる存在へとのし上がったのです。しかし今作の「Everything In Between」、これを聴いて、彼らのノイズの必然性、それがシーンという括りに含まれないこと、一線を画していることに気づかされてしまいます。

それを証明するのが、今回のアルバムに顕著である、あらゆるノイズの融合。サンプリングノイズや生音のノイズを組み合わせ、それを彼ら特有のパンキッシュでポップなメロディーに昇華しています。ノイジーさを全面に押し出した前作よりは、音は落ち着いていて、楽曲はポップで聴きやすいメロディーが多い。これらの変化は明らかに時代に順応した変化というよりは、自分たちとの戦いにより起きた変化です。彼らは西海岸で広がってるシーンを横目でチラリと見ながら、自ら出した前作「Nouns」に挑み、そして見事にその壁を越えることに成功しました。まずはそれを証明する先行シングルGlitterをお聴きください。
No Age - Glitter by subpop

結局彼らは今作「Everything In Between」により、シーンからの脱却をとげることに成功しました。自分たちは自分たちの場所で鳴らしたい音を鳴らしているというプライドや使命感なるものを、彼らの知的でちょっとひねくれた音や歌詞の中から感じることが出来ると同時に、これが次作へ繋がる一歩であるということも、私達にほのかに匂わせてくれます。理屈抜きで良いアルバムなのでオススメです。是非!





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