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Tapes 'n Tapes: New Song "Freak Out"

Tapes 'n Tapesの3rdアルバム『Outside』が来年(2011年)1月11日にリリースされることが、先日アナウンスされました。その中からの新曲”Freak Out”がとても良いので聴いてみてください。フリーダウンロードもできます!
Freak Out by tapesntapes


彼らTapes 'n Tapesといえば、2005年にリリースされた1stアルバム『The Loon』がネット上で話題となり、2006年にMySpaceの人気インディー・バンド投票で第1位に輝くなどの話題を呼んだバンドです。当時あたりから、ネット上で人気が起こり海外メディア等を介して人気が出るというインディー・バンドが増えてきていて、後に出るClap Your Hands Say YeahやArctic Monkeys等の先駆けとなったバンドでもあります。

彼らの特徴といえば、一言で言うなら、いかにも”USインディー”らしい音を奏でると言うのがいいでしょうか…(笑)。上手く言い表せないですけど、アルバム全体を通しても色んなジャンルの要素が詰まっていて、それを彼らの大好きなウィルコ、ペイブメント、ピクシーズのようなアメリカらしい音に昇華した感じですかね。とにかくUSインディー・ファンには絶対に聴いておいて欲しいバンドの一つです。『The Loon』から何曲かこちらで試聴できます。特に”Omaha”は必聴です!
The Loon by tapesntapes
個人的に”Manitoba”という曲もオススメなので是非音源手に入れて聴いてみてください。

そして2008年には2ndアルバム『Walk It Off』をリリース。デビュー作に比べると大分過小評価気味(そんなことはなく全然名作です!)な作品ですが、これもまた試聴できますので、是非。相変わらず一つのジャンルに絞れない多彩な音を奏でる作品です。1st気に入った人は絶対気に入るはず!
Walk It Off by tapesntapes

”Time of Songs”とか良い感じのワルツで構成されていて名曲ですヨ。

なんというか彼らの音楽性って掴みにくい印象があって、色んな音楽聴いてるんだろうなーと。それでいて今自分たちがしたいことを、はっきりと一つの楽曲に詰め込んでそれがリスナーに直球で伝わってくる。それがとても分かりやすくて、そしてノリやすくて良いんです。USインディー・ロックの良い所を全て詰め込んじゃった感じ。個人的にはずっと応援してたいバンドですね。

ちなみに残念ながら現在は音源が入手困難な状況でCDでの購入は海外から取り寄せないといけないみたいです。LPであればAmazonからも購入できます。まぁ、そこらへんの中古屋で良く見かけますので、そちらで入手するのが良いかもしれません。




Hotel Mexico / His Jewelled Letter Box

ここ数年、海外のメディアから日本のバンドがフューチャーされるということは実に稀なことであった。新しいアイディアが求められる今の音楽シーンで、日本のバンドは昔から模倣のバンドというステレオタイプを持たれているせいなのか、ほとんど日本の音楽は敬遠されていた。ただ、京都で生まれたこのバンドには、そのようなステレオタイプを払拭する、才能とセンスに溢れていたのである。

京都府出身の6人組バンドHotel Mexicoは、同じ大学のバンドサークルで結成されたエレクトロ・バンドである。結成時は4人編成であったが、その後2人が加入し今の編成となった。メンバーの石神と菊池は、バンド結成前からそれぞれDJをしており、主に最近(2009-2010)のアメリカ・インディー・ミュージックに多大な影響を受けているようだ。そして京都発のSecond Royal Recordsから今年8月、1st EPとなる『His Jewelled Letter Box』をリリース。この発売前後に海外の影響力の強いインディー・ブログDon't Die WonderingPinglewood20jazzfunkgreats、等に紹介され、後にAltered ZonesPitchforkにまで記事が上がり、一躍海外での評判を上げたのである。

彼らのサウンドの特徴はチルウェイブとも比較される脱力感のあるボーカルにグイグイ絡んでくるベースラインやドラム。妙なエフェクトのかかったセンス溢れるギター、シンセ。そしてなんと言ってもこれらの音がバンドとして、しっかりとしたグルーヴ起こしているところに魅力がある。スペインのデロレアン(Delorean)に最もサウンドとしては近いだろうか。前にも一度上げたが彼らの出世曲"It's Twinkle"をとりあえず聴いて欲しい。決して英語の発音は良いとは言えないけれど、そんなことを忘れさせてくれるくらいグルーヴィな曲である。
Hotel Mexico - Its Twinkle by Second Royal Records

Hotel Mexicoが海外に反響を呼んだことによって、今日本の音楽が海外に再評価されているといっても過言ではないかもしれない。現にあふりらんぽ(Afrirampo)の新作は海外ブログRaven Sings The Bluesに紹介され、最近Second Royal Recordsからカセットをリリースすることになった兵庫出身のFriendsThe Road Goes Ever Onに紹介され、話題になっている。勿論、インターネットによる情報のフラット化により、気軽に海外のインディー・ミュージックを聴き易くなったことで、日本の音楽が海外のリスナーに触れられる機会も増えたのだろう。実際にその結果が目に見えて現れている今だからこそ、Hotel Mexicoのヒットが日本の音楽を世界に広める突破口となっていけばいいなあとしみじみ感じている。





Radiohead Syndrome

日本の音楽メディアCoockiesceneで、読者が自由に投稿できるコーナーがあって、そこで上がってる特集の中に「Radiohead Syndrome」という特集があり色々な人達の彼らに対する解釈を読むことが出来た。『Kid A』を始めとした傑作の数々の中で彼らが世に与えた影響に対する”解釈”は十人十色で、そういった意味ではミュージシャンだけではなく、僕達リスナーにまで、「純粋」に音楽を聴いて、「純粋」に解釈をさせてくれる素晴らしいバンドであるということを再確認させられた。
http://www.cookiescene.jp/the-kink-controversy/index.php

こういうのを読んでいると、なんか無性に興奮してくるというか、なんと言っても僕が本格的に音楽漬けになってしまったキッカケは確実にレディオヘッドのおかげであるので僕も投稿しよう!とか思ってたんだけど、なんていうかクッキーシーンってデカいサイトだし、投稿してみたけど乗らなかったら恥ずかしい(笑)。そして最後の投稿からも3ヶ月近く経っていて今更感剥き出しなので、ブログの方に書いてみることにした。基本的に普段書いてるレビューとかは書きながら考えていることが多くて、まとまってない文がほとんどなんですが、今回は真面目に書いてみようと思います。多分まとまらないけど(笑)。


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僕がレディオヘッドに出会った頃は既に『Hail to the Chief』までリリースされていて、初めて聴いたアルバムがそれである。そして紛れもなく僕の青春だった。こんなこと書くと暗い人間と思われてしまうか もしれないが、決してそんなことはなく僕は彼らを一つのアーティストとして尊敬していただけにすぎない。

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90年代、CDの大幅な普及により発生した商業ロックバンド達、彼らは全てのインディー・バンドの敵であった。いや、或は嘲笑の対象だったかもしれない。ペイブメントは「音楽シーンはイカレてしまってる、新しいバンド、新しいバンド、どれも同じだ。」と歌い、スマッシング・パンプキンズやストーン・テンプル・パイロッツを名指しで批判したりもした。インディー・ロッカー達にとっては、そういったバンド達が創造性に欠け、何よりも音楽を楽しむという本来のあるべき姿、それを忘れてしまったかのように思えたのかもしれない。

そして紛れもなくレディオヘッドも、商業的に売れに売れていた。トム・ヨークの自己嫌悪に溢れる詩、当時のオルタナティヴ・ロックに通じる歪んだギター、全てが当時のリスナーの胸を打った。そして『OK Computer』。このアルバムで彼らは自らのキャリアを確固たる地位へと伸し上げたのである。この明らかに他のメジャー・バンドと一線を画す実験的なアルバムが売れたにもかかわらず、世間では商業ロックが旋風を巻き散らす。ついにこのアルバムを境に彼らはロックをやめてしまう。

「ロックなんてゴミくずだ。」

そうトムが言い放ち、2000年『Kid A』をリリースする。これは全ての商業ロックに対するアンチであり、啓示であった。それにも関わらず、僕はこのアルバムを聴いて、寧ろ彼らの音楽に対する情熱、つまりロックを感じた。彼らは結局は音楽とは切り離せない何かで繋がっていて、彼らの心の中にある揺るぎないロックという信念が、それに対する矛盾と格闘をしていたように見えた。そんな中で僕にはトムがロックそのものに対してゴミくずであると言ったとは到底思えない。僕には「全てがあるべき正しい場所に」というフレーズは”音楽”そのものに対して向けられている気がしてならないのだ。

さて、本題に戻るが、結局レディオヘッドは、『Kid A』で終わってしまったのか?今彼らの繋いだはずのバトンは誰が持っているのか?という問いに対しての答えは『In Rainbows』が与えてくれたと解釈している。僕が初めて彼らの新作を待ち望んで手にしたアルバムである。

”It's up to you”とサイトに書かれ、自分で好きに値段を決めて音源を落とすことが出来るシステム。この革新的な音源供給により、現在bandcampというmp3による音源供給サイトによって、誰でも”It's up to you”で音源をアップロード、ダウンロードできるようになるまで時代は進んでいる。僅かであるかもしれないがインディーとメジャーの情報格差は縮まってきているし、少なくともリスナーがインディー・ミュージックを手にする手段は増えた。つまり彼らは自分たちが意図せずとも、インディー界、いや音楽業界全体に影響を及ぼしているのだ。

総じてレディオヘッドは全てのインディー・ロッカーの抱える不満、ストレス、そして音楽を鳴らす喜びを代弁し、世に伝えていく力を持っている。何故なら彼らも元々は音楽オタクの集まるインディー・キッズ達の一つであり同じような不満や、音楽に対する情熱を持ったバンドであったのだから。僕はレディオヘッドは終わったとは思えない、少なくとも僕らがそう断定はできない。終わる時は彼らが終わらせる。そして彼らが持っているバトン、それは必然的に彼ら自身が持ち続けるのだ。新しいシーンが起こるとしたら、それはまた別のバトン。そして、それを今持っているアーティストは現実に存在しているではないか。

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Everything In Its Right Place




Memoryhouse Cover "When You Sleep"

In My Room: Memoryhouse "When You Sleep" from Yours Truly on Vimeo.

Arcade Sound Ltd.でもおなじみのMemoryhouse。彼女達が海外ブログYours TrulyとのイベントでMy Bloody Valentineの"When You Sleep"のカバーをしています。あのシューゲイズギターサウンドがピアノの音で綺麗に洗練されていて、Memoryhouseらしい感じに昇華されています。名カバーなので是非。

ちなみにMemoryhouseの今年出た「The Years EP」はココからフリーダウンロードできます。

一応本家の方も。