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Hotel Mexico / His Jewelled Letter Box

ここ数年、海外のメディアから日本のバンドがフューチャーされるということは実に稀なことであった。新しいアイディアが求められる今の音楽シーンで、日本のバンドは昔から模倣のバンドというステレオタイプを持たれているせいなのか、ほとんど日本の音楽は敬遠されていた。ただ、京都で生まれたこのバンドには、そのようなステレオタイプを払拭する、才能とセンスに溢れていたのである。

京都府出身の6人組バンドHotel Mexicoは、同じ大学のバンドサークルで結成されたエレクトロ・バンドである。結成時は4人編成であったが、その後2人が加入し今の編成となった。メンバーの石神と菊池は、バンド結成前からそれぞれDJをしており、主に最近(2009-2010)のアメリカ・インディー・ミュージックに多大な影響を受けているようだ。そして京都発のSecond Royal Recordsから今年8月、1st EPとなる『His Jewelled Letter Box』をリリース。この発売前後に海外の影響力の強いインディー・ブログDon't Die WonderingPinglewood20jazzfunkgreats、等に紹介され、後にAltered ZonesPitchforkにまで記事が上がり、一躍海外での評判を上げたのである。

彼らのサウンドの特徴はチルウェイブとも比較される脱力感のあるボーカルにグイグイ絡んでくるベースラインやドラム。妙なエフェクトのかかったセンス溢れるギター、シンセ。そしてなんと言ってもこれらの音がバンドとして、しっかりとしたグルーヴ起こしているところに魅力がある。スペインのデロレアン(Delorean)に最もサウンドとしては近いだろうか。前にも一度上げたが彼らの出世曲"It's Twinkle"をとりあえず聴いて欲しい。決して英語の発音は良いとは言えないけれど、そんなことを忘れさせてくれるくらいグルーヴィな曲である。
Hotel Mexico - Its Twinkle by Second Royal Records

Hotel Mexicoが海外に反響を呼んだことによって、今日本の音楽が海外に再評価されているといっても過言ではないかもしれない。現にあふりらんぽ(Afrirampo)の新作は海外ブログRaven Sings The Bluesに紹介され、最近Second Royal Recordsからカセットをリリースすることになった兵庫出身のFriendsThe Road Goes Ever Onに紹介され、話題になっている。勿論、インターネットによる情報のフラット化により、気軽に海外のインディー・ミュージックを聴き易くなったことで、日本の音楽が海外のリスナーに触れられる機会も増えたのだろう。実際にその結果が目に見えて現れている今だからこそ、Hotel Mexicoのヒットが日本の音楽を世界に広める突破口となっていけばいいなあとしみじみ感じている。





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