Spiga

Land Of Plenty

面白かったので、映画のレビューでも書いてみる。ヴィム・ヴェンダース監督作の『ランド・オブ・プレンティ』である。ヴィムさんと言えばあの『パリ・テキサス』で有名だが、この映画も、パリテキサスのような、映し出される土地の臭い(今回はロサンゼルス)がする、とても美しいロードムービーである。

内容は、20歳になる少女ラナが伯父であるポールに会いに10年間滞在していたアフリカ・イスラエルから故郷アメリカに帰ってきて、ポールに会う目的である「母からの手紙」を渡すというだけの単純な話である。ただポールのイラク右翼に対する偏執狂っぷりに冒頭から「あれ、コメディ映画なのかな?」とまで思わされたり、本人達はクソ真面目に演技をしている所に、思わず笑ってしまったりするシーンが何回かある。そんなおかしな伯父のことを必死に理解して彼のことを知ろうとするラナの優しさに、ヴィムさんの映し出す人間観というものが出ていて素晴らしかった。

話自体は、明らかにおかしな伯父の行動や推理が、意外とつじつまがあっており、もしかしたら正しい気がしてくる瞬間もあって、多少スリルも感じたのだが、やはり最後は全てがシロで終わる。ラナが持っている「母からの手紙」が全てを結論づける。描かれている景色もとても綺麗なので、ロードムービーが好きな人は見ても損はしないでしょう。

Beachwood Sparks / Beachwood Sparks

2000年、当時のSub Popで絶大な人気を持っていたバンド、Beachwood Sparks。今回は90年代アメリカインディーシーンの重要な存在であるLilysやFurtherのメンバー達によって結成された、このBeachwood Sparksのサウンドにやられてしまったので紹介します。

彼らのセルフタイトルの1stアルバムのジャケットを見てみれば分かるだろうが、このポップ調なカラフルなジャケットから、90年代の伝説となったエレファント6界隈の音楽をイメージするだろう。やはり彼らが元Lilysのメンバーということもあって90年代のそこ界隈のジャンルとは何らかの形で関わっているみたい。それは、やはりこのアルバムが多彩なコーラスワークからなっているということ、きっとThe Olivia Tremor Controlが好きなら、絶対気に入るはずである。

また、このコーラスワークの土台に形成されているカントリー調の演奏が上手く絡み合って心地よい。60年代のカントリーロック、The ByrdsやThe Bandを想像するといいかもしれない。そして明らかにThe Beach Boysのような60年代西海岸のバンドの影響を隠せない。やはり彼らが西海岸の出身であるという事実が現れているのだろう。

そしてこのBeachwood Sparksはただの60年代カントリーロックリバイバルバンド、で終わらせない所が素敵な所である。どこまでも分かりやすいカントリーロックを追求している曲がほとんどを占めているアルバムなのだが、彼らがLilysに在籍していたという事実から、やはりこの宇宙を思わせる浮遊感、ドリーミーなサウンドはぬぐい去ることは出来ないのである。このバンドのことを何も知らない人に聴かせると、60年代のバンドと答える人は、かなりの数いるだろうが、何曲か聴いた後に「おや、やっぱり90年代のバンドだ。」と、そうなるはずである。60年代のバンドに影響を受けながらも、どこまでもリアルタイムにこだわった作品なのである。とてもオススメなので是非聴いてみてください。

Deerhunter、Panda Bearの新曲!


Deerhunterが今年9月にニューアルバム『Halcyon Digest』をリリースする。
前作『Microcastle』が大ヒットした彼らだが、今作はそれを超える内容になる予感。そんな期待を感じさせてくれる新曲がアップされていたので紹介します。

Deerhunter / Helicopter

素晴らしいの一言。今年一番の名曲かも。



そして、Animal CollectiveのPanda Bearも9月に発売される新作『Tomboy』から先立って新曲を2曲ドロップしました。

Panda Bear / Tomboy






Panda Bear / Slow Motion






前作に比べるとサイケ度が増してる感じである。パンダベアの新作にも期待したい所だ。


ディアハンター、パンダベア、2000年を代表する両アーティストがリスナーにどんな希望を与えてくれるのか。
もう9月まで待てないけど、今年1位2位を争う両者の新作に乞うご期待である。

2010年上半期ベストアルバム!

かなり長い期間ブログを放置していた。気がつけば2010年も半分を過ぎてしまった、、、ということで2010年上半期で良かったアルバムをベスト25でまとめてみた。

Best of 2010

25〜5位は上のリンクに記載してます。

4位、High Places / High Places vs. Mankind
サイケポップバンド、High Placesの2ndアルバム。
前作は浮遊感全快な不思議ポップなアルバムであったが、今作では音の骨格をしっかりと出したメリハリのある内容に仕上がっている。
彼女達特有の浮遊感は残して、リスナーにその浮遊感の形をしっかりと聴かせる今作は、前作以上に聴きやすく、とてもキャッチーなポップアルバムになっている。





3位、The Tallest Man On Earth / The Wild Hunt
スウェーデンのボブディランこと、Kristian Matssonのソロプロジェクト、The Tallest Man On Earthの2ndアルバム。
独特な声を持つ彼の歌声は、まさにボブディランを彷彿とさせる。今作は前作のような綺麗なアルペジオからなる曲に加え、ピアノの弾き語りも。前作以上に聴きごたえのあるアルバムだ。







2位、Beach House / Teen Dream
捨て曲なし!一曲目から最後までノンストップで名曲が続く、Beach Houseの3rdアルバム。
夕焼けのビーチに響く波のせせらぎのようなドリーミーなサウンドは、まさに10代の頃の夢のよう。
このくらいのハイクオリティなアルバムが下半期で出ますように。Arcade FireやDeerhunterあたりに期待したい所。






1位、Twin Sister / Color Your Life
New Yorkからのニューカマー、Twin Sister。このEPはまだ2枚目であり、オリジナルアルバムは0枚。つまりまだよくわからないバンドである。ただ何故このバンドが1位なのかというと、このEPの中毒性である。
音自体は薄いのだが、浮遊感のある声や音たちが絶妙に絡み合っており、何回聴いても飽きないのである。これを聴いてしまうと、本当に1stアルバムが楽しみでならない。そんな期待を込めての1位です。凄く良いのでオススメ。

The Morning Benders / Big Echo

今年一押しのThe Morning Bendersの2ndアルバム。サンフランシスコからの最近流行の西海岸ポップバンドであり、ジャケからみても、なんとなくサーフなイメージがつくだろう。そんな時代の波に乗った彼らだが、はっきり言って今までのサーフロッカー達とは一線を画している。

一曲目の「Excuses」。この曲はガールズやリアルエステイトと曲調なども似ており、メジャーコード、ミドルテンポの聴きやすいナンバーである。ガレージやパンクを、より西海岸的要素を踏まえて昇華し、(ワルツに乗せて)とても聴きやすく、今年の中でも名曲中の名曲にランク付けされる曲である。しかしこの曲だけでこのバンドを判断するのは、大きな間違いであるのだ。

彼らの楽曲の中で明らかに目立つ要素なのが、コーラスとスローでサイケデリックな曲調である。こういった曲が大半をしめているため、純粋なポップバンドとは言いがたく、どちらかというと聴きやすい、というイメージはなくなる。これにはGrizzly BearのChirs Taylorとの共同プロデュースが大きな要因であろう。グリズリー好きの人はなんとなくわかったかもしれないが、彼らのコーラスワークや、ギターのフレーズの特徴が酷似しているのである。ここまでスローなテンポで抑えているのも、やはりPet Sounds期のビーチボーイズの影響が見えるからである。


最近の西海岸のロックバンド達の傾向として、ガレージやパンクにサーフ的要素を交えるバンドが多かった気がする。その中でも、The Morning Bendersは、より忠実にサーフロックを継承した、純粋なビーチボーイズフォロワーではないだろうか。彼らの1stは、ポップ要素を全面に押し出していた。しかし、今作『Big Echo』で明らかな成長を遂げた。その成長ぶりには目を見張るものがあるし、時代の流れとともに恐らく次作でも大きな変化を取り入れてくるだろう。


Jimmy Eat World / Clarity


皆さんはエモというジャンルについてどのような先入観をお持ちだろうか?2000年代にメジャーチャートで大ブームとなったこのジャンルは、所謂メロコアとして知られていると思う。メロコアと聴くと、やはり音楽を多少掘り下げている人たちにとっては、余り内容の少ない似通った作品が多いためか、少なからず好印象持っていないだろう。

こうした2000年エモの立役者(決して皮肉ではない)であるバンド、Jimmy Eat World。このバンドに興味を持ち出したのは彼らの3rdアルバムである『Clarity』を聴いてからである。僕ははっきり言ってこのアルバムを聴いていないJEWフリーカーは、彼らの才能の10分の1も知らないと言っても過言ではないと思う。

彼らの3rdは聴いてみたらわかるが、一つ一つの音がとても洗練されていて透明感溢れるアルバムである。デスキャブの『The Photo Album』や、Sunny Day Real Estateの3rdにも通じるサウンドは、90年代に生まれた初代エモに影響を受けている。エモというジャンルの原点は、決してメロコアというものではなく、むしろその逆で、奇麗なアルペジオが印象的である。感覚的には元気さ一杯のメロコア的エモーショナルではなく、一人寂しい夜などに静かに泣き叫ぶエモーショナルである。2000年以降のJEW好きよりもデスキャブ好きに薦めたいアルバムである。




Jimmy Eat World / Lucky Denver Mint

ちなみに次のアルバムからはメロコア全開です。僕は好きだけど(笑


Toro Y Moi / Causers Of This

最近のアメリカインディーシーンにおいて個人的に最も興味深くて面白いなぁと思うのが、エレクトロポップシーンである。昨年ヒットしたインディーエレクトロの作品の中で共通していたのは宅録感たっぷりのローファイサウンド。そもそもエレクトロがムーブメントとして発達した先端的なサウンドとは真逆の発想であった。こういうシーンが生まれる流れとかは詳しく知らないけど、今回コロンビアからの新人さんであるトロ・イ・モワ(あってる?)もまた、こうしたシーンの中から出てきたアーティストである。



彼のサウンドで特徴的なのが気味の悪い、まるで深海にいるような幻想的なサウンドである。メランコリックにさせるこの独特な感じに何故か体が揺れるのが自分でも不思議なくらい気味が悪い。去年出たアーティストの中でネオン・インディアンやメモリー・テープスのような自然的、有形な音を投げかけてくるのではなく、彼が鳴らすのはウォッシュド・アウトのような無形の音と言ってもいいのかもしれない。やはりそういった意味でもかなり取っ付きにくいが、アルバムを聴いていると徐々にこの音が快感に変わっていく。ダウンテンポな曲が多いため、本当にゆっくりと彼の音に順応していく様が体感できるという点で見ても、かなり聴きがいがある作品だ。周りの音がふんわりと不協和音で重なる割にメロディーはとてもポップで洗練されているので、慣れてくれば最高のポップミュージックになりうるだろう。



Toro Y Moi / Blessa