Spiga

Best Albums Of 2010 25位〜11位

個人的な2010年ベストアルバムです。今年は沢山の素晴らしい新作に出会えた年でした。来年は今年よりもっと素晴らしい作品と出会えることを願って。



25. Magic Kids
Memphis
[True Panther]



とにかくポップなアルバムでした。昨年後半辺りから顕著にUSインディーシーンに現れてきたサーフロックリバイバル的なものを最も分かりやすく昇華したアルバムがこの「Memphis」でしょう。ビーチボーイズらしさをどこまでも追求して生まれたものがこのアルバムの中にありました。かといって完成されすぎているということは全くなくて1stアルバムらしい初々しさも感じられ、今後のアルバムで大きく化けることが期待されます。とにかく名盤。

ちなみにTrue Pantherでは今年はGirlsの「Broken Dreams Club EP」やCloud Nothingsの「Leave You Forever EP」なども素晴らしかった。Cloud Nothingsは来年頭に新作を出すらしいのでそちらも期待です。Magic Kids好きは絶対気に入るはず。




24. Autre Ne Veut
Autre Ne Veut
[Olde English Spelling Bee]



Real EstateのギタリストDucktailsの活躍もあってか(?)今年グイッと伸びてきたレーベルがこのOlde English Spelling Bee。海外メディアFACT Magazineでは今年のベストレーベルに見事一位に輝き、その存在を世に十二分に知らしめることとなりました。その中でもひときわ光っていたのが、このAutre Ne Veutです。正直言って彼のことを良く知らないのですが、鳴らしている音は近年のチルウェイブやウィッチハウスと言うようなところなのでしょうか?はっきり言って僕はここら辺のジャンルの区別が良くわかってないのですが…。とにかく音を曖昧にするという所に関してはチルウェイブとかが当てはまるのでしょうが、彼がやっているのはあくまでソウル/R&Bがルーツになっているように思えます。その点で言えばHow To Dress Wellとかに音が近いのかもしれません。しかしながらこのアルバムはもの凄く聴きやすいので、例えばHow To Dress WellであったりSalemであったりが苦手だって言う人達にもオススメです。とにかくカッコいいので是非聴いて欲しいです。




23. Spoon
Transference
[Merge]



やっぱりSpoon好きだ、て思う作品でした。ここまでキャリアが長いのに(今作で7作目)常に新しいSpoonを見せてくれる。彼らの作品では今まで退屈したことがありません。この「Transference」もやはり前作「Ga Ga Ga Ga Ga」から一新しています。とくにブラックミュージックの要素が増えましたね。もともとヴォーカルのブリットダニエルさんは生粋の音楽オタクでも知られますが、やはりそう言った音楽の含蓄から出てくるアイディアは凄いなあと感心させられます。前作「Ga Ga Ga Ga Ga」が素晴らしかったこともあって、今作はちょっと地味というか以外に埋もれがちですが、良く聴いてみたらやっぱり名盤だと感じるはずです。#9の“Out Go The Lights”には飛び上がるでしょう。




22. The Morning Benders
Big Echo
[Rough Trade]



個人的ベストトラックの1位にも選ばせて頂いた#1“Excuses”から幕を開けるこのアルバム。個人的にはUSインディー界隈で波に乗っているサーフブームを一区切りさせるかのような出来映えでした。Grizzly BearやFleet Foxesがやりたかったこと、GirlsやThe Drumsがやりたかったこと、この二つの中間を見事に打ち抜いたようなアルバム。どちらの要素も入っていて、しかもそれが中途半端ではなく完全な新しい音になっている所。1stでは特に目立った印象はなかった彼らでしたが、1stの時に既に得ていたポップセンスと新しく得たシーンとの協調、これが見事に重なり合ってとてつもなく素晴らしい仕上がりになりました。Snoozerの1位にもあがってましたし(1位にするには、多少話題性に欠けていたかな?)是非とも聴いて欲しい作品です。




21. Ariel Pink's Haunted Graffiti
Before Today
[4AD]



今年のインディーキングと言っても過言ではないのがこのAriel Pink率いるAriel Pink's Haunted Graffiti。この人2000年初頭から結構勢力的に活動していた人なんですけど、なかなけメディアから高評価を受けてなかったというか、実はインディーシーンでは結構有名だったのですが、いかんせん音がチープだし、ふにゃふにゃしすぎているしでなかなか日の目を浴びなかったんですけど、今作「Before Today」で、ちゃんとスタジオ入ってしっかりレコーディングしたこともあってか(実際音はあんまり変わっていない…笑)、ピッチフォークで9点出るなど、一気に有名になってしまいました。個人的にはインディーの深いところでいつまでも地味にやっていて欲しかったのですが(笑)。実際アリエルピンクのヒットはインディーシーンではもの凄くでかくて、この後に彼のようなテイストを持ったアーティストがどんどん出てきました。そういった意味でもアリエルピンクはインディーシーンを活性化する良い特効薬になりましたね。




20. Frankie Rose & The Outs
Frankie Rose & The Outs
[Slumberland]



初期Vivian Girlsのドラマー(2008年脱退)であり名付け親、さらにはDum Dum Girlsのドラマーでもあり、Crystal StiltsのドラマーでもあるFrankie Roseちゃんの新バンドがこのFrankie Rose & The Outsである。Vivian Girls、Dum Dum Girlsという最近のガールズバンドシーンで重要な二つのバンドの中核を支える役割を満たし、持ち前の美貌(これは趣味分かれるかも)を最大限に活かし、今回はフロントマンとしてその存在感をしっかりと出しています。音に関して言えばどちらかというと、Crystal Stiltsに近いサイケデリックなシューゲイザーを奏でており、勿論Vivian GirlsやDum Dum Girlsにも通じるポップさも兼ね備えている、所謂良い所取りな感じでしょうか。レーベルはThe Pains Of Being Pure At HeartやCrystal Stiltsが所属しているSlumberlandに所属しています。このことからも、この2バンドが好きな方には是非お勧めしたい作品です。




19. Sun Airway
Nocturne Of Exploded Crystal Chandelier
[Dead Oceans]



今年のチルウェイブ・シーンでは、もっとも質の高かった作品であるように思えます。Pitchforkでは、確かAnimal Collective meets The Strokesと評されていて、見たときちょっと苦笑いしてしまったのですが、聴いてみるとなんとなく言いたいことが分かるというか、例えば今年のAvey Tare(Animal Collectiveのパンダベアではない方)のソロ作品で聴ける音に近いのですが、Aveyが鳴らしている音よりはノリ安くキャッチーさがあり、とにかく聴きやすい作品であり、そう言った意味ではストロークスっぽいのかなあと。色々なメディア等でAnimal Collectiveがチルウェイブを本当の意味で生み出したアーティストである、みたいなことが言われていますが、この作品を聴けばその意味が何となく分かる気がします。

他に今年出たチルウェイブのアーティストとしてはBlackbird BlackbirdやClive Tanaka y su Orquesta、Dom、Memoryhouse等素晴らしいアーティストが沢山出ているのでそちらもチェックしてみて下さい。




18. Best Coast
Crazy For You
[Mexican Summer]


夏真っ盛り!なシーズンに出たベサニーちゃん率いる超フレッシュバンドBest Coastの待望の1stアルバムがこの「Crazy For You」です。Best Coastは去年からシングルを数々出していて、そのほとんどがソールドアウトで1stフルレングスデビュー以前から大注目されていたアーティストなのですが、期待に期待していた「Crazy For You」も、全くその期待を裏切ることなく惚れ込んでしまいました。なんと言っても季節に合っていたし、USのシーンにも合っていたし、レーベルもMexican Summerだし売れない訳がないというか、或はキャリアとしては少し長いベサニーの彼氏君率いるWavvesよりも知名度が上がったのではないでしょうか。個人的にはBest Coast、Wavves共に応援したいバンドなのでWavvesの3rd「King Of The Beach」も是非聴いて欲しいです。両者とも猫ジャケが可愛い!




17. Superchunk
Majesty Shredding
[Merge]



待望の9年ぶりになるフルレングスアルバム、そして今までで一番若さ溢れるアルバム。この若さ元気さは一体何処から出てくるんだろうという感じです。見た目はもうおっさんになってしまったMerge RecordのボスMacさんも、声質が劣ることなく、むしろ前よりも声出てるんじゃないか?と思ってしまう程、#1からのSuperchunk節でもはや感無量でした。彼らの他の作品の思い入れもかなり強いのですが、普通にトップ3に入るくらいのクオリティでした。来年2月の来日公演で福岡にまで来てくれるので楽しみでなりません。

90年から活躍しているバンドとしては、今年はThe Magnetic Fieldsの「Realism」なんかも出て、そういったおじさん達が活躍してくれるのはめちゃくちゃ嬉しいことですね。来年はThe Wrensの新作も出るとか?




16. Weekend
Sports
[Slumberland]



#1 Coma Summerを試聴した瞬間から衝撃を受けてしまい、アルバム全体を通して聴いてさらに衝撃。サンフランシスコから突如現れたノイズバンドWeekendのデビュー作「Sports」。Slumberland Records特有のノイズ・シューゲイズ、ギターの音はあまり重なっておらず轟音のギターを鳴らす手法をもっとも聴き手に分かりやすく表現した作品です。冒頭のComa Summerの前奏からジワジワと音圧を上げていき、1:30辺りからの超絶ノイズに深いリバーブエフェクトのかかったボーカルのシャウトが重なり昇天しました。ジャングリーなドラミングはNo Ageを彷彿させ、少しダークな印象を受けるサウンドはCrystal StiltsやA Place To Bury Strangerを彷彿させます。僕にとっての2010年ザ・ノイズ・ロック。これにつきます。何度も痺れさせて頂きました。




15. Phosphorescent
Here's To Taking It Easy
[Dead Oceans]



シンガーソングライターPhosphorescentことMatthew Houckさんの通算5枚目のアルバム。前作「To Willie」からは約1年という短いスパンでのリリースです。元々カントリーミュージックは大好きなのですが、彼で言うならば3rdアルバム「Pride」で見られるような幻想的な世界観が好きで、そう言った音を求めて結構色々なアルバム掘り下げてたりしてました。今作はどちらかというとコテコテのカントリー調の曲がメインなのですが、それでもやっぱり彼の独特の世界観は固持されており、尚かつ最後の曲“Los Angeles”で見られる壮大さは圧巻です。まぁ、渋いですね。あのPerfume Geniusもフェイバリットに上げる彼ならではのグッドソングライティングが味わえる作品です。




14. Spectrals
Extended Play EP
[Underwater Peoples]



僕が今年最も注目していたレーベルの一つUnderwater Peoplesから素敵なアルバム(EP)を紹介したいと思います。Louis Jonesという方のソロプロジェクト(?)Spectralsです。まだアルバムは出していないのですが(他には2009年に4 Songs EPというのを出してるみたいです。)いかんせんこのEPが素晴らしい。めちゃくちゃメロディーラインが好みです。音はとてもシンプルで60年代のポップミュージックにありそうな感じです。このアーティストを何も知らずに聴いたら時代を間違えてしまう程。他にもこのレーベルにはAndrew CedermarkやAir Wavesと言った、素敵なアーティストがいて、両者とも60年代の雰囲気を持っていて、とにかく大好きなアーティスト(2011年頭には両方とも国内盤が出ます!)。聴き手とアーティストとの距離が短く感じてしまう、なんとも親近感のわく音を奏でているレーベルです。ちなみに来年Fat Possumからデビューを果たす夫婦デュオTennisの幻の「Baltimore EP」はこのレーベルから出ています。




13. Woods
At Echo Lake
Woodsist



Woodsist RecordのオーナーであるJeremy Earl率いるWoodsの3rdアルバム「At Echo Lake」。彼の独特のファルセットボイスは少し声を太くしたような今は亡きSparklehorse、Mark Linkousの雰囲気を思い起こさせます。最近のローファイミュージックで良く見られるリバーブを妙にかける手法等、そう言ったシーンをしっかり引っ張りつつ、今まで今ひとつピンと来なかったサウンドも、今作でやっと落ち着いて洗練されたように思います。実際このアルバムにハマりだしたのは結構最近だったので、もの凄く評判が良かった同じくWoodsist所属のReal Eatateとの去年の来日公演に行けなかったのが凄く心残りです。もっと早く好きになってたら絶対行ってたな…(笑)。とにかく名盤ですね。




12. Twin Sister
Color Your Life EP
[Infinite Best]



2010年、一番沢山聴いたEPです。地味と言えば地味なんだけど、全ての音がツボでした。とにかく無駄な音が少なくて多少薄っぺら感がありますが、それでこんなに素敵な雰囲気を出してしまうなんて、素晴らしいの一言です。もうほんと大好きなバンド。恐らく2011年に待望のデビューアルバムを出すのではないかと予想されるので楽しみでなりません。後、このバンドを好きになったもう一つの理由は、とにかくライブが素晴らしいということ。Pitchfork TVにあがっていたライブ映像に何度も鳥肌立たされたので、是非ご覧になって下さい。
Pitchifork TV - Twin Sister Live




11. The Fresh & Onlys
Play It Strange
[In The Red]



世間一般的にはかなり知名度は低いのではないでしょうか?このThe Fresh & Onlysというバンドは、この「Play It Strange」が3rdアルバムになります。前作までは、WoodsやReal Estateと同じWoodsistからのリリースでしたが、今作は心機一転、In The Redに移ってのリリースとなっています。In The Redといえば、The Dirtbombs、The Deadly Snakes、Black Lips、最近ではVivian Girlsや今は亡きJay Reatardもリリースをしていることから分かるように、かなりガレージ臭の強いレーベルです。そしてこのThe Fresh & Onlysも今作では泥臭いサイケ・ガレージをベースにしています。僕個人としては、このバンドを一発で惚れ込んだ所は、その泥臭さを持ちつつも、それをもの凄く爽やかなポップに昇華しているところでした。恐らく本人達は意図してはいないと思いますが、こんなにも泥臭いはずなのに何故キャッチーで耳に残るメロディーなんだろうと。とにかく見所満載のアルバムです。




0 コメント: